知ってるだけじゃダメです

ぜんぜん知らなかったことってあんまりない。が、「こんなに○○だったとは」「意外に○○じゃな」とは毎日思ってる。

まさかBLTサンドにはまるとは

わたしはデブである。

見た目ももちろんそうだが、いちばんデブなのは思考である。とにかく炭水化物が食べたい。米ならなおいい。餅など最高だ。白いごはんはおかずを呼ぶ。できる限り多くのおかずをできる限り多くのごはんで山ほど食べたい。人より食べたい。いちばんおいしいときに食べたい。熱々で食べたい。熱々のときに全部食べたい。いま食べたい。早く食べたい。早く食べ終わってもっと食べたい。

ふつうに節制を知っている人が読めばこの文字列だけで吐き気するだろうなあ。そのくせ、どか食い欲が菓子類にはあまり向かわないという一事をもって、自分がむしゃむしゃ妖怪であることを脳内で否定していたのである。

まあいまもデブなんですけど、上記の思考法からは徐々に脱却できていると感じるここ3か月である。きっかけは大風邪を引いて、非常に珍しくも一時的に食欲が減退したこと。

大風邪を引いたため家人が弁当を買ってきた(献立立案および調理を主に担当しているのはわたしなので)。わたしは半分しか食べられなかった。おいしそうな弁当なのに惜しいなとわたしは思った(このへんがまさにデブ思考ど真ん中)。食べるのを止めて、ふと「わたしはいまどのくらいお腹空いてるかな」と考えた。自分の腹具合を感覚で探ってみた。そして天恵のごとく閃いたのである。

満腹している。

じゅうぶん腹一杯になっている。

重ねてわたしは気づいた。食事中に脳内にあったのはいつも「目の前にある飯に食べる価値があるか?」「YEEEEEEEEEEEEES!!!!」というやりとりのみ。わたしはほとんど、自分がどのくらい満腹しているかを腹に問うたことがなかったのである。体ではない、脳が指令し、脳が喰っていたのだ。

 

わたしはよく噛んでものを食べるようになった。いままでのペースだと体に様子を訊ねる暇がない。また、体と対話した経験があまりに薄いので量の見当がつかず、ひとまず白飯を半分にしてみた。以来もうすぐ3か月。結構続いているものだ。体重はそんなに減らないが、できるだけ安くできるだけ大量に喰おうと血走らない暮らしはけっこう快適だ。

ここまでが前置き。

デブ思考の真逆にある食べものとはなにか。いろいろな方面が考えられると思うが、その最右翼はカフェめしであろう。1000円で皿にちんまりおかずが載ってて同じ皿に箱根山*1並みの白飯がちんまり盛られたプレートなんぞ喰えるか勿体ない、とデブ思考キャリアは考えるものである(腹の許容量を超えて食べるのこそ飯が勿体ない、とは絶対に考えない)。

そのようであったわたしがなんと週に二回ランチでBLTサンドセットをいただいております。よく噛んでいただいております。結構毎回満腹させていただいております。

BLTサンドというものがどこでもこんなにトーストさくさく(ホットサンドではなく、トーストでつくられたサンドなのである)マスタードマヨぴりりベーコンほどよくしっとりの逸品なのならこの世は天国だな! と感じていたのだが、数軒試したところでは、職場最寄りの喫茶店のBLTサンドが不動の一位から退く気配がない。うまい。縷々述べたごとくの事情の上でBLTサンドを食べはじめた以上、コメダコーヒーの草鞋の如き巨大サンドに新たな可能性を求めるわけにもいかない(台無しである)。

自分がそんなにこのBLTにはまっていることにもしばらく自覚がなかったのだが、仕事中ときどき「BLTサンド」で検索してしまっていることに気づき愕然としている。

わたしはたぶん妖怪ではなくなった。

でもひょっとして、新たにBLT妖怪になってしまったのか。

東京23区西部でBLTサンドのおいしい店教えてください。禁煙もしくは完全分煙だと泣いて喜びます。